マーケティングを行う上で「目的・ゴール」の設定は欠かせません。
ところが、現場の実態は下記が多いです。
- 目的・ゴールを作ったものの「本当にこれでいいのか?」と、メンバーが不安を抱えたまま動いている
- 目的・ゴールが曖昧なまま(時には決まってないまま...)マーケティングをしている
- そもそも、目的・ゴールの作り方がわからない
経験上「目的とゴールの明文化」こそがマーケティングの結果・成果を左右します。
本稿では実際の支援事例をもとに「目的・ゴールの整理」をどう進めるべきかを体系立てて解説します。
本稿を読み切ったゴールとしては「目的・ゴールはこうやって作るのか」と、ご自身で作れる状態を目指しています。
- 「目的・ゴール」を整理する具体的な方法
- 「目的」を整理する質問
- 「目的」の反証質問
- 反証に対して思考 → 目的の確定
- 「ゴール」を整理する質問
- 「ゴール」の障害となっている要素を特定
- 企業の目的は?
- なぜ、このプロジェクトをやるのか?
- 老舗ブランド さま「限られた人数で効率的にマーケティングを行うため」
- 株式会社恒電社 さま「マーケティング組織を新設するため」
- 株式会社WOWOWコミュニケーションズ さま「BtoBマーケティングの仕組みを確立するため」
- SimilarWeb Japan 株式会社 さま「新規のリードを増やすため」
- 「目的」の反証質問
- ゴールの状態(数字または具体的な環境)は?いつまでに達成するのか?
- ゴール | 数値に落とし込む
- “正しい”定量的な指標にに落とし込めない場合、行動数を据え置く。
- 期日
- ゴール設計における3つのポイント
- 「ゴール」の障害となっている要素を特定
「目的・ゴール」を整理する具体的な方法
「目的」を整理する質問
- 企業の目的は?
- なぜ、このプロジェクトをやるのか?
「目的」の反証質問
あなたは戦略コンサルタントです。
私は「初期仮説」として **プロジェクトの目的** を記載します。
このステップでは **「目的のみ」** を対象に反証してください。
ゴール・KGI・KPIなどは反証不要です(こちらで別途考えるため)。
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### 1. 反証
目的に対して、以下14問をすべて実施してください。
出力フォーマットは以下:
#### {番号}. {質問名}:「{元の質問文}」
- 【質問への回答】:目的文を根拠にした答え
- 【気づき/指摘】:思考の穴やリスク、見落とし
- 【問い・議題】:必ず**目的をさらに磨くための問い**を出すこと。他のブロック(ゴール・KGI・KPI・Who・What・Howなど)に逸れた問いは出さないこと。
**質問リスト(必ずすべて実施すること):**
1. 明確化:「一言で言うと?」「小学生に説明してみて」
2. 前提調査:「その前提は何?」
3. 証拠:「それを証明できるものは何?」
4. 視点:ポジティブ「それ、ものすごくうまくいったらどうなる!?」
5. 視点:ネガティブ「それ、全然うまくいかなかったらどうなるの?」
6. 視点:中立「うまくもいかず、失敗もしなかったらどうなる?」
7. 視点:子供「そんなこと忘れて遊ぼうよ!僕ならこう考えるよ!」
8. 視点:固定概念「でも、普通ならそれはこうではないでしょうか?」
9. サンクコストの呪縛:「過去のコストを一旦忘れたら、今後のコストは妥当?」
10. 損失回避:「それを続けて損失出ているのなら、損切りすべきでは?」
11. コントロール幻想:「それは本当にあなたがコントロールできるものなの?」
12. 完結志向:「それは全て完結させる必要はあるの?」
13. 多数の無知:「他の人の意見は聞いたの?」
14. 個人のアイデンティティ:「それは自分のプライドによる意思決定では?」
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### 2. まとめ
14問の反証を踏まえ、**「問うべき設問ベスト5」**を抽出してください。
出力フォーマットは以下:
#### 問うべき設問ベスト5
1. 【設問】:〜
- 【理由】:〜のため。これを考えることにより〜が高まる。
---
### 3. 選定ロジック(内部前提)
※この部分は出力には含めない。
AIは戦略当事者でも感情のある人間でもなく、完全な第三者かつIQの高い思考装置として動く。そのため“好き嫌い”や“思い込み”を排除し、論理的に見て最もクリティカルな問いを5つに絞る。人間の会議では避けられがちな問い(前提否定・損切り基準・感情バイアス)をあえて優先的に取り上げるというロジックで抽出すること。
また、【問い・議題】は必ず**目的をさらに明確化・合理化・具体化する問い**に限定すること。
反証に対して思考 → 目的の確定
「質問リスト」の問い、または、「問うべき設問ベスト5」の問い。
どちらかの問いに対して回答し、「目的」を確定させる。
「ゴール」を整理する質問
- ゴールの状態(数字 or 具体的な環境)は?いつまでに達成?
- そのゴールは本当に実現可能?
- そのゴールは一言で言うと?新卒の方でも理解できる?
- そのゴールは魅力的?三方よし?
「ゴール」の障害となっている要素を特定
- 理想:目指すべき状態は?
- 現実:現在の状況は?
- 問題:現実と理想の間にある具体的な障害は?
- 原因:問題が発生した根本的な理由は?
- 背景:原因の背景は?なぜ、その原因があるのか?
- 課題:「背景」は、なぜそのようになっているのか?
企業の目的は?
まず最初に整理すべきは「大目的」、すなわち「企業としての目的は何か?」という問いです。ここでは、主に企業が掲げるミッション・ビジョン・バリューが該当します。
例えば、弊社のお客さまである株式会社恒電社さまのミッション・ビジョン・バリューは下記です。
- ミッション - 子どもたちが受け継ぐ“次代”を豊かにする。
- ビジョン - “次代”を創るパイオニアになる。
- バリュー - 「正々堂々」
重要なのは、マーケティング戦略が企業活動の最上流に位置するのではなく、企業の目的が最上位にあり、それを達成するための手段としてマーケティング戦略が存在するという整理です。
恒電社さまの場合であれば「マーケティングによって会社を知ってもらい、商談が増え、ご発注いただき、事業である“電気”の力を通じて、次世代が『受け継ぎたい』と思える豊かな”次代”を創る」。この全体像における一端を、マーケティングが担います。
弊社では企業の目的に基づき、マーケティング戦略の設計を行っています。
なぜ、このプロジェクトをやるのか?
2つ目の問いは「なぜ、このプロジェクトをやるのか?」という点です。
繰り返しになりますが、最上位にあるのは企業の目的(ミッション・ビジョン・バリュー)です。
本プロジェクトの目的は、その企業目的を達成するために、マーケティングという手段が必要である、という位置づけになります。
なお、「いや、マーケティングこそ経営である」といった、マーケティングが上流から下流のどこに位置するか...といった学術的な話はここではしません。
申し上げたいことは「企業の目的が最上段」ということです。
私の経験上、プロジェクトの目的は案件ごとに様々。例えば、下記は弊社のお客さまによるプロジェクト初年度の「マーケティング支援におけるプロジェクトの目的」です。(補足:初年度の目的であり、執筆している2025年現在は異なる目的を設定しています。)
老舗ブランド さま「限られた人数で効率的にマーケティングを行うため」
2020年頃に孔子の教えに関する書籍を読んでいて「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉を知りました。その時気づいたのは「私は人様のことをあまりにも知らない」ということ。
またちょうどその頃、私ともう一人のメンバーの2名体制でWebマーケティングを進めていました。
このような背景から、2020年から2021年にかけて「限られた人数でいかに効率的にマーケティングを行うか」あるいは「どのように“チート”(抜け道)できるか」を検討していました。
引用元:【実績】某老舗ブランド | マーケティング支援
株式会社恒電社 さま「マーケティング組織を新設するため」
2021年、恒電社が事業ドメインをBtoCからBtoBへ大きく転換するタイミングで、社内外に新たな方向性を明確に示す必要がありました。
そこでマーケティング組織の新設が急務となり、「この局面を伴走して支援してくれる人」として真っ先に思い浮かんだのが原澤さんでした。
引用元:【実績】株式会社恒電社 さま > 【恒石陣汰さま】マーケティング責任者
株式会社WOWOWコミュニケーションズ さま「BtoBマーケティングの仕組みを確立するため」
扱っている商材がソリューション型であり、常に変化するサービスであることから、THE MODELのような型の導入だけでは乗り越えられない課題が次第に浮き彫りになりました。
(中略)THE MODELはそのまま導入できず、ある程度のオーダーメイド対応が必要であることがわかってきました。
BtoBマーケティング領域の経験が社内に乏しく、一般論は語れても実践的な深い知見までは出てこないという限界も感じていました。そうした背景もあり、HARAFUJI含め、候補者を探し始めました。
引用元:【実績】株式会社WOWOWコミュニケーションズ さま > 【大川 祐太郎さま】現チームマネージャー
SimilarWeb Japan 株式会社 さま「新規のリードを増やすため」
───HARAFUJIにご依頼いただく前に、どのような課題をお持ちでしたか?
田中様
下記のような課題がありました。
- オーガニックのトラフィックが弱い
- 新規のリード数が少ない
- SFAにあるハウスリストを活用しきれていない
- リスティング広告の予算は本国からおりたものの、社内で対応ができない
- 上記を対応するにも、リソースが不足している
- 日本独自のローカライズ戦術ができていなかった
【実績】Similarweb Japan 株式会社 さま | SEO・ウェビナー・プロジェクト管理事例
このように「なぜ、このプロジェクトをやるのか?」は、各社で異なります。
各社、ご相談を頂いた時は「マーケティングをしたい」とお声がけ頂きました。ただ、ヒアリングを進めていくと、各社で「なぜ、マーケティングをやりたいのか?」のご回答は異なり、これらを深堀った結果、各社で目的は異なりました。
どのようなご回答であれ、重要なのは、マーケティング施策を本格的に開始する前に、この目的を明確に言語化しておくことです。
そうでなければ、進行中に「そもそも、何のためにやっているのか?」という根本的な疑問が再燃し、戦略やチームの一貫性が崩れるリスクがあります。
プロジェクトの目的は、社内メンバー全員で共有すべき“約束ごと”として明文化しておくことを強くおすすめします。
「目的」の反証質問
マーケティング戦略を立てる上で、最も大きな落とし穴のひとつが「目的の取り違え」です。
目的が曖昧なまま進めてしまうと、その後のWhoとWhatのプロセスがすべて空回りしてしまい、最終的には戦略全体が無意味になりかねません。だからこそ、目的を決める際には必ず反証を入れることが重要です。
例えば「マーケティングをなんとかしたい」という表現でも間違いではありません。しかし、その言葉の裏側にある背景や課題を整理しなければ、本当にその目的でプロジェクトが前進するのかは判断できません。
なぜ「マーケティングをなんとかすること」が目的なのか。その先に売上拡大なのか、ブランド浸透なのか、あるいは組織体制の変革なのか…成したいことのの芯を掘り下げることで、初めて戦略全体に筋が通ります。
このプロセスは、正直に言えば時間がかかり面倒に感じることもあるでしょう。しかし、「直感で決めた目的」を一度論理的に疑い、反証を重ねることによって、目的の強度は格段に高まります。
直感のまま突き進むのではなく、検証を経て裏付けを持たせることで、チームに共有したときの納得感も増し、プロジェクト全体の成功確率も大きく上がるのです。
戦略のすべては「目的」から始まります。だからこそ、最初に立てた目的を鵜呑みにせず、あえて問い直す。この「ひと手間」が、後の戦略を強固なものにする上で重要です。
ゴールの状態(数字または具体的な環境)は?いつまでに達成するのか?
ゴール | 数値に落とし込む
3つ目の大きな問いは、ゴールと期日の設定です。
具体的には、以下の2点を明確にします。
- 具体的なゴールの状態とは?
- 達成期限はいつか?
ここでのポイントは、ゴールの状態を可能な限り“数字”で置き換えることです。「リード数を◯件」「コンバージョン率を◯%」といった具体的な定量目標です。
例えば、プロジェクト稼働から2年目より、WOWOWコミュニケーションズさまでは「資料ダウンロード数」を目標値に定め、また昨年対比での成長率を計測しています。
1半年、さまざまなことを仕込み、結果的に成長率としては「2024年度の資料ダウンロード数:+388.9% ※2023年度比較」と、大きく数値を伸ばせました。
もし数値化が難しい場合は、状態として言語化する方法でも構いませんが、曖昧にしてしまうと、マーケティング施策の結果に対して言い訳の余地が生まれやすくなります。
そのため、極力、定量的な指標に落とし込むことを推奨しています。
“正しい”定量的な指標にに落とし込めない場合、行動数を据え置く。
ただ、“正しい”定量目標を定められない場合もあります。
それは下記の場合。
- そもそも、マーケティングをやったことがない
- マーケティングをやっていたが、数値を計測できておらず、現在に対して比較できる過去の数値がない
例えば、マーケティング支援導入前における弊社のお客さまの課題は下記でした。
基本的な施策については『とりあえずやってみよう』といった取り組みは色々とありましたが、BtoC領域と比べて、BtoB特有の文脈で、施策結果の数字をどう見ればいいのかが分からず、施策結果における数値の解釈に苦戦していました。
引用元:【実績】株式会社WOWOWコミュニケーションズ さま > 【大川 祐太郎さま】現チームマネージャー
もちろん、「売上」「粗利」などの財務指標は追いかけます。
ただ「何の数値が売上・粗利へ結果的に寄与するのか?」は、「そもそも、マーケティングをやったことがない」場合、“正しく”設定はできません。
なぜなら、会社毎に状況が異なるためです。
商材・メンバー・予算・市場概況・競合・営業力・アセット…など、対象となる変数は異なり、どこにリソース投下すれば結果に繋がるのか、やってみるまでわかりません。
定量目標を定められない場合、ゴール設計は会社の状況やご要望によって様々ですが、多くの場合「行動数」をゴールにおくことが多いです。
なぜなら「コントロールできる」ためです。
架電数、コンテンツ数、メール配信数…など、さぼらなければ達成できる数字を据えます。
行動をこなしていると、必ず「何かしらの結果」が出ます。その結果を分析し、最終的には売上や粗利に寄与しそうな「数値項目」を特定する。
この一連の活動をコツコツとこなしていくことで、結果・成果に繋がります。
期日
また、「いつまでに達成するのか?」という期日の設定も必須です。
理由はシンプルで、期限がなければプロジェクトは容易に後ろ倒しになり、特に経営層にとっては「結局いつまでに成果が出るのか?」という問いに答えられなくなります。
これは社内メンバーだけでなく、株主や投資家など社外への説明責任にも関わるため、期限の明確化は極めて重要です。
ただ、期日の話をすると、よく頂く質問が下記です。
「マーケティング支援を導入し、どれくらいで成果 or 結果(≒ ゴール)が出るのか?」
ゴールに辿り着く期間が短いに越したことはありません。ただ「どのようなゴールにするか?」かつ「前提条件(≒ リソース)」によって、期間は大きく変わります。
極端な例ですが、例えば「今年度は100件の新規顧客を獲得する」とゴールにおいたとします。その際、仮に昨年の実績が「5件」だった時、100件取れる確率は0.25%です。
【数式】
目標達成確率 ≒ (昨年度実績 ÷ 今年度目標)²
=(5 ÷ 100)²
=(1 ÷ 20)²
= 1 ÷ 400
= 0.25%
「とはいえ、ざっくりどれくらいなのか?」は気になるところです。
そこで「Q.HARAFUJIとのプロジェクトがスタートしてからどれくらいで『マーケティングで成果出てるな』と思いましたか?」弊社のお客さまに伺ったところ、下記のようなご所感をお持ちでした。
老舗ブランドさま
代表取締役社長「コンバージョンがどれだけ増えたかといった、定量的な貢献度は正直わかりません。間接的な影響が大きいと思っています。
原澤さんの成果を何かで評価するなら、それは「会社の業績」です。最終的には、そこにどれだけ直結しているか。その観点でいえば、売上は伸びています。2019年から2025年にかけて、売上は4倍以上です。業界の中でも十分にリードする存在になれていると思っていますし、取り組んできて良かったと実感しています。
(中略)
何か一つの実務がどうこうという話ではなく、俯瞰で見たときに「マーケティングができている」「ブランディングをコントロールできている」と言える状態にまでなっているというのが、何よりの成果です。」
SimilarWeb Japan 株式会社 さま
木佐さま
「1〜2ヶ月ほどで成果を実感し始めました。特に、事例インタビューを進めたあたりから顕著に成果を感じました。これまで顧客からフィードバックを聞く機会がなかった中で、弊社への率直なフィードバックを得られるようになったのは大きな変化でした。」
田中さま
「最初の数ヶ月から具体的な成果を実感できました。」
株式会社恒電社さま
恒石さま
「プロジェクト開始から1ヶ月ほどだと思います。最初の打ち合わせで、「どうして恒電社は世の中に必要なのか?」「なぜこの事業をやるのか?」と聞かれた時、正直「こんなところから始めるんだ」と驚きました。
普段、このような本質的な質問を自分に投げかける機会がほとんどなかったからです。個人的には、こういった本質的な問いを投げかけてもらい、それに答えて自分の考えをアウトプットした瞬間に「この取り組みをやって良かった」「原澤さんに頼んでよかった」とすでに成果を感じていました。」
株式会社WOWOWコミュニケーションズさま
大川さま「最初の半年ほどはあまり手応えを感じていませんでした。ですが、プロジェクト開始から1年経たないくらいの時期に、少しずつ変化を感じるようになりました。
たとえば、事例コンテンツが増えてきて、それに伴い発信できるものが整ってきたことで、「ダウンロード数、ちょっとずつ増えてきたかもね」と思えるようになってきました。さらに、プロジェクト開始から1年ちょっと経った頃には、オーガニックのリード獲得も安定してきたため、利用をしていた成果報酬型のリード獲得サービスを終了するという判断をしました。
これは、外部サービスに頼らなくても社内のノウハウをアウトプットすることがリード獲得につながることが見えたという理由からで、この決断はマーケティングの成果が着実に出てきた証拠だと感じています。」
あくまで弊社の事例ですが「そもそも、定量的に貢献度が図れない」「1〜2ヶ月」「1年」と、各社で異なります。
ゴール設計における3つのポイント
※ゴール設計における3つのポイントは「森岡毅(2014)『USJを劇的に変えた たった1つの考え方』角川書店」より引用し、弊社の経験を踏まえて解説します。
これまで、お客さま毎で初年度の設定したゴールは異なります。唯一の共通点は「3つのポイント」を必ず守ること。
ゴール設計は簡単ではなく、プロジェクトによっては難易度の高い設計作業になることがあります。そのため、ゴール設計における3つのポイントを抑えることが重要です。
1.実現可能性|そのゴールは本当に実現可能か?
1つ目は、そのゴールが現実的に実現可能かどうかです。
達成が容易すぎる目標は意味を持ちにくく、かといって非現実的な目標を掲げてしまうと、現場が疲弊しモチベーションが低下する原因となります。
弊社では、ゴールの実現可能性を判断する際、お客さまの現状だけでなく、弊社がこれまでに達成してきた事例との比較を通じて、妥当性を検証しています。
2.シンプル|そのゴールは一言で言えるか?新卒の方でも理解できるか?
2つ目は、ゴールがシンプルに表現されているかという点です。
目的と同様、ゴールもチーム内だけでなく、他部署、会社全体、さらには経営層にまで共有されるものです。そのため、分かりにくいゴールは情報伝達の精度を下げ、組織全体の動きを鈍らせるリスクがあります。
これまでの経験上、新卒や第二新卒の方々など、ビジネス経験の浅い方々にも伝わる表現にすることを推奨しています。
稚拙な表現でも構いません。全員が同じ方向を向けるよう、あえてシンプルな言葉での言語化が有効です。
3.魅力的|そのゴールは魅力的か?三方よしか?
3つ目は、ゴールが「魅力的」であるかどうかです。
当然のことながら、戦略を動かす人々(特に現場のメンバー)にとって、そのゴールが「やる価値がある」と思えるものでなければ、推進力は生まれません。
加えて、自社にとって良いだけでなく、お客さま、社会にとっても良いものであること──いわゆる「三方よし」の観点が重要です。
この視点を持つことで、より共感性の高いゴール設定が可能になります。
「ゴール」の障害となっている要素を特定
理想とするゴールを描いたなら、次にやるべきは「現在とのギャップ」を特定することです。
ゴールに到達できていない要因は何なのか、その差を生み出している背景はどこにあるのかを明らかにしていきます。
このギャップの正体は、企業ごとにまったく異なります。営業体制に起因する場合もあれば、商品力そのものに問題がある場合もありますし、ブランド認知や組織の仕組みに根差しているケースもあります。
だからこそ、マーケターは表面的な「問題」だけでなく、その背後にある「なぜそうなっているのか」という構造的な原因にまで丁寧に目を向け、最終的には課題の抽出へと落とし込む必要があります。
ここで重要なのは、課題を見つけた時点で即座に解決する必要はないということです。
むしろ多くの課題は、中長期的な取り組みでなければ根本的に解消できません。だからこそ「今この課題が存在している」という事実を、マーケター自身やマーケティングチーム、さらには組織全体で共通認識として持っておくことが大切です。
課題を共有し、組織的に把握しておく。その積み重ねが、戦略を実行する際の土台となり、後の意思決定をより強固なものにします。
>> 「【AI × 人】マーケティング戦略の作り方 - リソース編」
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