※本パートは「人」のみで実施します。
マーケティングを考える際に、多くの企業が悩むのが「お客さまにどのようなイメージを持たれたいのか?」を明確にできないことです。 現場の調査では「現状どう見られているか」は把握できますが、「どう見られたいか」という未来志向の問いに対する答えは得られません。
実は、この問いに正解を持っているのはAIでも顧客でもなく、企業自身です。
ブランドエクイティの設計は、プロダクトアウト的な領域であり、経営者やブランド担当者の意志を反映させる必要があります。
本稿では、築きたいブランドエクイティを定義し「何をヒアリングをするのか?」のプロセスを整理します。
本稿を読むことで、ブランドイメージを偶発的に任せるのではなく、意図的に設計し、自社の価値を長期的に高めるための戦略的アプローチを理解できます。
- 「ブランドエクイティ」を定める具体的な方法
- 意識
- 1. 「築きたいブランドエクイティ」を定める
- 2. 「持ってほしくないブランドエクイティ」を決める
- 3. プロダクトアウトであり、AIや顧客は答えを持たない
- 4. 担当者や経営者から丁寧にヒアリングする
「ブランドエクイティ」を定める具体的な方法
- どのようなブランドエクイティー( = 消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージのこと = A)を築きたいか?
- Aを正しく所有している(=伝わっている・価値を感じている)のはどんな人? = 既存のお客さまの特徴 = ペルソナ
- Aは他社と比較してどのような価値なのか?
- 自社のAを何が下げているのか? = B
- ex.自社商材がデジカメだった時:「高品質な写真が撮れるのが価値 = A」だった時、“スマホ = B”はAを脅かす存在でる。
- なぜ、顧客はBをを選ぶのか?
- ex.BにはAだけでなく「電話ができる」「SNSが使える」といった、Aだけでない価値を含むため、顧客はBを選ぶ。
- 一方で、どんなブランドエクイティーを持ってほしくないか?
- 実際、見込み顧客はどのようなブランドイメージがあるのか?( = 伝わっていない・非購買層はどのようなイメージを持ってる?)
- 見込み顧客にとって購買意思決定を左右する重要な判断軸は「Who・インサイト編の利害」で抽出したもの以外に何がある?
- どのような非指名(=Unaided Awareness)されているか?(現在) ex.〇〇といえば、自社 etc
- お客さまはブランドに接触した時、五感でどのように感じ、どのような気持ちになるのか?(現在)
- お客さまは自社ブランドを家族、友人、同僚、初見の人にどのように説明するのか?(現在)
意識
ブランド戦略を考える上で、私が特に意識しているのは 2つの視点 です。
- どのようなブランドエクイティを築きたいか
- どんなブランドエクイティを持ってほしくないか
1. 「築きたいブランドエクイティ」を定める
ブランドエクイティとは、顧客がそのブランドに対して抱く価値やイメージです。まず重要なのは、将来的に自社のブランドをどう位置づけたいのかを明確にすること。たとえば「信頼感のあるパートナー」として見られたいのか、それとも「革新的で尖った存在」として認知されたいのか。この方向性を定めることが第一歩です。
2. 「持ってほしくないブランドエクイティ」を決める
もう一方で、意外と重要なのが「どんなイメージを持ってほしくないか」を定めることです。信頼性を大切にしたいのに「安かろう悪かろう」というイメージを持たれるのは避けたい、といったように、ブランドが誤って認識されるリスクを事前に防ぐことができます。
3. プロダクトアウトであり、AIや顧客は答えを持たない
ここで大切なのは、この問いには AIも顧客も答えを持っていない という点です。なぜなら、これは「プロダクトアウト的な領域」であり、突き詰めれば企業側の意志やエゴに近いものだからです。顧客調査で浮かぶのは「現状どう見られているか」であって、「どう見られたいか」ではありません。
4. 担当者や経営者から丁寧にヒアリングする
したがって、この部分はマーケターが独断で決められる領域ではありません。ブランド担当者や経営層にしっかりとヒアリングし、「持ってほしいイメージ」「持ってほしくないイメージ」 を丁寧に継承することが欠かせません。マーケターの役割は、それを形にして戦略へと落とし込むことです。
結論として、ブランドエクイティの設計で最も重要なのは、
- 築きたいイメージを定義すること
- 避けたいイメージを定義すること
この二つを明確にし、関係者からのヒアリングを通じて丁寧に継承することです。これがブランド戦略の基盤となり、後のマーケティング施策すべてに影響を与えます。
>>「【AI × 人】マーケティング戦略の作り方 - What・戦略キャンバス編」
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